ミュージカル スクルージ「クリスマス・キャロル」



東京芸術劇場中ホールで1999.12.11〜1999.12.25まで行われたスクルージを観てきました。

市村正親さんが今年もスクルージとして登場です、プログラムには何故か渡辺真理アナからのコメントが(笑) それはさておきスクルージ、やっぱ良いです。 市村正親さんの演技が光っているのは分かり切って観に行っているのではありますけどね。 岸田智史さんもgoodな演技で脇を固めましたね。 過去のクリスマスの精霊こと日向薫さんも良かったし、現在のクリスマスの精霊こと北川潤さんの声、いやぁ楽しい時を過ごせました。
老齢の金貸しエベネザー・スクルージ(演:市村正親)はお金に五月蠅い。 当たり前なんだけど、貸すときは恵比須顔だが返済を督促するときは般若にもなる。 家族はなく、唯一姉の息子:ハリー(演:戸井勝海)とその婦人だけが親族だ。 旧友:ジェイコブ・マーレイ(演:渡辺晃三)と共に始めた金融業の会社だがマーレーは既に他界し一人で会社を経営、そして従業員はボブ・クラチット(演:岸田智史)ただ一人、職場の蝋燭の減り具合すら気にしつつ、ひたすら仕事に邁進する日々を送る。
そんなある年のクリスマス・イヴの夜、マーレイだと名乗る幽霊から
「夜中に3人の使いが来て、その結果次第ではスクルージも私のように体中に重い鎖を巻き付けて無間地獄を彷徨い歩き続けることになる」
との忠告を受ける。 
「人としての優しさを忘れるということは、重い鎖を将来我が身に纏うために作り続けていることだ、人の優しさに気づき精一杯この世で生きていって欲しい」
。。。。。マーレイはそう言い残し消えた。
帰宅したスクルージはマーレイの言い残したことを気にしつつもベッドへ向かう、眠れない時間を過ごし予告された午前1時を迎える。
「何も起きないじゃないか?」、安堵のため息をつくスクルージ、しかし最初の使いである「過去のクリスマスの精霊(演:日向薫)」はソコに居た。
過去のクリスマスの精霊スクルージの幼い頃のクリスマス風景を見せる、優しい姉:ジェニーと過ごした少年時代のクリスマス、温かく見守ってくれる親方や同僚、そして恋人:イザベルに囲まれて過ごした青年時代のクリスマス。。。。。過去のクリスマスの精霊が最愛の姉:ジェニーだと気づいた時、
「過去はもう取り戻せないのよ」
と言い残し消えていく過去のクリスマスの精霊。 気がつくとスクルージは自宅にいた。
午前2時の金を合図に「現在のクリスマスの精霊(演:北川潤)」がやってきた。 「人間の優しさの搾り汁」だという飲み物を手渡され飲むスクルージ、あまりの心地よさに更に欲しいと懇願する。 「人間の優しさの搾り汁」に酔ったスクルージは陽気に歌い出し、現在のクリスマスの精霊と共に夜空へ飛び出していく。
現在のクリスマスの精霊に連れて行かれた先は唯一の従業員でありクリスマス休暇を楽しむクラチットの家だった。 スクルージを酷評する家族に対し、クラチットだけはスクルージを擁護しスクルージを称えて乾杯する。 クラチット家の長男:ティム坊やは重い障害を持っていたが、家族で気遣い、それでも楽しく団らんを囲むクラチット一家を見てスクルージ現在のクリスマスの精霊に尋ねる。 「あの子の病気は重いのか?」 現在のクリスマスの精霊スクルージのいつもの口調を真似てこう言った、
「死ぬなら死んでいただこう、そうすりゃ無駄めし食いの数が減る」
次いで現在のクリスマスの精霊はスクルージをハリーの家へと連れて行く。 ハリー夫婦を中心に楽しくパーティを開く甥のハリー。 ここでもスクルージの評判は最悪だったがハリーは一人「卑劣でけちん坊だけど・・・僕はおじさんが好きなんだ」と言い、スクルージに乾杯を捧げる。 ハリーには毎年クリスマス・パーティに誘われていたし今年も来てくれと言われていたが参加しないでいた、スクルージは自分も一緒に参加しているかのような嬉しい時間を過ごす。 そして現在のクリスマスの精霊は消えていった、スクルージはまた自宅にいた。
午前3時になり、「未来のクリスマスの精霊」が現れた、死神を模したとしか思えない未来のクリスマスの精霊スクルージを未来のクリスマスへといざなう。 スクルージは墓標を見つけた、そこにはティム・クラチットと掘られていた、意気消沈するスクルージ未来のクリスマスの精霊は一つの墓標を指し示す、そこには間違いなく「エベネザー・スクルージ」と我が名が掘られていた。 自宅前には金を貸しているたくさんの人々が集っていた、私の死を悲しんでくれるのか? そうスクルージは思ったが実際はスクルージの家から物品を奪取していたのだった、私はこんなにも嫌われていたのか? 驚愕し悲観するスクルージの元へマーレイの亡霊が現れる、助けを乞うスクルージマーレイの亡霊はスクルージの口調を真似て言う。
「ハッ!ばかばかしい!」
混乱したスクルージは闇の中でいつまでも悲鳴を上げ続けた。
スクルージはベッドにいた、
「まだやり直せる? 生まれ変わるチャンスを与えられたんだ!」
そう思ったスクルージは人々への借金を帳消しにし、貧しい人への寄付を約束する、大きな七面鳥や持ちきれないほどのおもちゃを手にクラチット家に出向きクラチットの給料倍増と、ティム坊やに良い医者を捜すことを約束する。
最後にスクルージは甥のハリー、その婦人ヘレンの元へと急ぐ。 来客は帰ったがハリー夫婦はまだパーティを開いているはずだ、
「もう一度、始めるぞ」
、そう心に誓いながら。