蜘蛛の巣




東京グローブ座で行われた「蜘蛛の巣」千秋楽公演を観てきました。 アガサ・クリスティというかミステリー系の小説は読まないので、舞台を純粋に楽しめました。 原作を知っている人はどう思われたのでしょうね?

開演前・休憩中・終演後の場内アナウンスは神戸みゆきチャンでした。 言っている事は他のケースと同じなんですが、ウィットに富んだ場内アナウンスで笑えました。
だいぶ忘れていますけど、開演前には「・・・腕時計のアラームなど聞こえますと役者の頭の中が真っ白になって舞台がとんでもない事になりますのでご注意下さい」とか「・・・写真撮影はお断りしておりますので、特に神戸ファンの皆様はご遠慮下さい」とか。 休憩中も似たような感じで最後の第3幕との幕間ではきちんと「もう休憩はありませんので云々」と言ってました。 今日は千秋楽だったからでしょうけど終演後のアナウンスは「今日観て面白いと思われて明日来られましても上演しておりませんのでご注意下さい」とか言ってた(笑) きっと前日までは「明日もやっているので又来てね」的なアナウンスだったんでしょうね。

あと主演の久世星佳さん、機関銃セリフ素晴らしいです(笑)

【注意】
以後、アガサ・クリスティ原作「蜘蛛の巣」のネタバレですので、
原作を読みたい!!!と思われている方は
読まない事をお勧め致します(笑)


1950 年代中頃のイギリス、東西冷戦で火花を散らすこの時、外務省の官僚であるヘンリー・ヘイルシャム・ブラウン(演:増沢望)の妻クラリサ(演:久世星佳)は田舎の借家でヘンリーと離婚した前妻との間に生まれた娘のピパ(演:神戸みゆき)と 3 人で暮らしていたが、暇をつぶすために空想を楽しんでいた。 その空想は「朝起きたらリビングに死体を発見してしまったら?」とか「ジェレミー・ウォーリンダー(演:戸井勝海)に求婚されたら?」など留まるところを知らなかった。

そんなある日のこと、家に遊びに来ていたローランド・デラヘイ卿(演:入川保則)、ヒューゴー・バーチ判事(演:安原義人)、ジェレミー・ウォーリンダーの 3 人はクラブハウスへと出かけていく。 そこへ前妻と再婚したオリバー・コステロ(演:各務立基)がやって来る、クラリサを見て一瞬たじろいだがピパの養育権を盾に取りピパを寄越せと言う。 クラリサが頑なに断っていると庭師のミルドレッド・ピーク(演:寿ひずる)が屋敷に顔を出したのでお帰りいただくことになる。 夕方になり執事のエルジン(演:青山達三)も妻を連れて出かけたいと言い出かけていった。

夫のヘンリーが帰ってくるなり興奮した口調で話し始める、他国の大物政治家が来訪する事になり、迎えに行って自宅へ呼び、秘密の会談をセッティングしたのだと。 念のためジェームズさんと仮名で呼ぶことになり、車で空港まで出かけていった。
リビングを片づけ始めるクラリスは何かにつまづいてしまう。 何だろう?と思って見ると男性が横たわっていた。 不審に思ったクラリサは声をかけるが反応がない。 うつぶせの男性の体を反転させるとそれは帰ったハズのオリバー・コステロの死体だった。
慌てて警察に電話しようとするが、外務官僚の自宅で殺人事件となれば出世に影響する、しかも今夜は大事な密談があるのだ。 そこへピパがやってきて「オリバー・コステロを殺してしまったかもしれない」と言い発狂寸前だ。 クラリサはピパを部屋へ連れ戻し、安定剤(睡眠薬?)を飲ませて眠らせる。 死体の対策に困り果てたクラリサはクラブハウスにいたローランド・デラヘイ卿らを連れ戻す。


呼び戻した 3 人と「ポーカーに興じていたというアリバイねつ造」のためスコアを書いていたところへ 3 人が戻ってきた。 「死体を見つけてしまったので近くの森へ隠したい」旨を伝えるがローランド・デラヘイ卿とヒューゴー・バーチ判事に反対されてしまう。 クラリサはローランド・デラヘイ卿にだけ「ピパが殺してしまったから」と伝え味方に引き込む。 ローランド・デラヘイ卿とジェレミー・ウォーリンダーが賛成したので仕方なくヒューゴー・バーチ判事も同意することになった。
とりあえず隠し通路に死体を隠したところで玄関のチャイムが鳴る、突然の来訪者はロード警部(演:瑳川哲朗)とジョーンズ巡査(演:加藤英雄)で「ここで殺人事件が起きた」という匿名の通報を受けてきたのだと言う。

しかし屋敷内の部屋を見て回ってもそれらしい死体は発見できない、死体が無ければ誰が死んだのか分からないし捜査もできない。 だが馬小屋の前に不審な自動車が止めてあったので調べるとオリバー・コステロの免許証が出てきた。 そのため、いろいろと聞かれるが巧く誤魔化していた。 「最後にオリバー・コステロに会ったのは誰か?」と聞かれミルドレッド・ピークだと告げると呼んでくれという。 電話で呼び出していろいろ聞かれると隠し通路は調べたのか?と言う。 ロード警部が見せてくれというのでミルドレッド・ピークが隠し通路を開けると果たしてそこに死体はあったのだ。

死体が発見されたことで展開は変わってきた。 一人ずつ尋問する事になり、クラリサは死体を見つけて動転しアリバイ工作と死体を隠してしまった事を話すがロード警部は信じてくれない、仕方なく空想力を逞しくしてねつ造した供述をロード警部は信じてしまう。 その後ヒューゴー・バーチ判事、ジェレミー・ウォーリンダー、ローランド・デラヘイ卿と個別に呼び出して尋問するがローランド・デラヘイ卿はクラリサを再度呼び出して真実を供述するように告げる。 クラリサは泥棒が入ったと思ってクラブを持ちリビングへ隠し通路を通って入りナイフで襲われたのでクラブで叩いたら死んでしまったと正当防衛である供述をする、戻ってきたローランド・デラヘイ卿にもその供述を強要する。 今度の供述を真実だと思ったロード警部は供述調書を書くために隠し通路への扉を開ける、しかし死体は忽然と消えてしまった。


検死官がやってきたが肝心の死体がない、叱責して検死官は帰ってしまう。 突然死体が無くなった事で一時的に解放されたクラリサ達だが死体が消えた謎は残った。 また何故オリバー・コステロがこの家にこっそりやってきたのか? それも分からないままだった。
そこへミルドレッド・ピークが戻ってきて気絶してベッドで寝ているふりをしてこっそり死体を運んでベッドに寝かせてあると告白する。 死体が消えた謎は消えたがオリバー・コステロの謎は消えない。 そこへピパがやってきて黒魔術でオリバー・コステロを呪った事を告げる、それでオリバー・コステロが死んだのだと言う。 ここでクラリサはピパが殴り殺したのではない事を知る。
ではいったい誰がオリバー・コステロを殺したのか? 思い返すと何点か不可解な事象に思い当たる。 「ブラウンの奥様」宛にかかってきた電話、呼び方が「ヘイルシャム・ブラウンの奥様」ではなかったし電話に出ると切れていた事。 オリバー・コステロがやって来た時、ブラウンの奥様に会いに来たのであってクラリサに会って本当に動揺していた事、そしてこの家が£ 4 /週で借りられているのに他の人が借りたいと言ったとき£ 16 /週だとふっかけられたらしい事、リビングの古い机に£ 500 出すと言う人がいた事、そして前の持ち主が経営していたアンティーク・ショップの共同経営者がブラウンという名前だった事など。 そして庭師のミルドレッド・ピークが共同経営者のブラウンだと判明する。

ブラウンの共同経営者は£ 10,000 以上の高価な何かを入手し、それが元で殺された。 その後お店に 2 度も泥棒が入っている事などからその何かを殺人者は入手できないでおり、お店にもないのならこの家の何処かに隠されているのだと思える事を話し始める。 その結果、隠し引き出しにあった 3 枚のサインを思い出し確認してみる。 「あぶり出しかもしれない」、そういうローランド・デラヘイ卿の意見に従ってそれらしい 1 枚をあぶってみると麻薬の売人リストが出てきた。 これを探していたのかと一同は納得する。

リビングのソファで眠るピパ、その側にジェレミー・ウォーリンダーが立つ。 そこへクラリサがやってくる。 そして理路整然と今回の殺人はジェレミー・ウォーリンダーによる事件だという仮説を話す。 ジェレミー・ウォーリンダーは全てを認め、エラー切手の封筒が本当の目当てだった事をクラリサに話す、そしてクラリサの首を絞め始める。 そこへロード警部ほか全員が出てきて真実が白日の下に晒される。 そしてジェレミー・ウォーリンダーは逮捕され屋敷を出ていく。

一息ついたところでヘンリーが帰ってくる、しかし要人は飛行機には乗っていなかったと嘆く、秘密会談は失敗だと。 クラリサは今晩の出来事をヘンリーに話すが信じてもらえない。 そこへ電話が鳴りクラリサは「警察からだと思うから私が出る」と言い受話器を取る。 ヘンリーは「警察から?」と訝しむが、その電話はヘンリー宛であった。 要人はやはり飛行場に来ており、今ヘンリーの自宅へ向かっている事を告げる。 ヘンリーは慌ただしく支度を始める、そしてまたクラリサも迎え入れる準備に取りかかるのであった。